サイジングとはSIZING

サイジングとは?What is “Sizing”?

サイジングあるいは経糸糊付けというと繊維関係のお仕事以外の方にはなじみのない言葉かと思いますが、織物を織る生産効率や製品の品位を左右するとても大切な工程です。

織物を織る際には、織機で経(たて)糸の間に緯(よこ)糸をくぐらせて交錯させ、平面状の布にしていくのですが、その過程を単純化して説明すると、織機にビームと呼ばれる棒に数千本の経糸をシート状に巻き取ったものを載せておいて

織機(織り前側)

織機(織り前側)

織機(経糸ビーム側)

織機(経糸ビーム側)


  • ビームから経糸のシートを引っ張り出しながらその一部を吊り上げて上下に2分割し、緯糸の通り道になる隙間を作る
  • その隙間に緯糸を通し、筬(おさ)といわれる部品で打ち込む
  • 分割した経糸シートを戻して経緯の糸を交差させる
  • 経糸シートの別の部分を吊り上げて次の緯糸を通す隙間を開く

その後は上の②~④を繰り返し、布にしていきます。下がその模式図です。

サイジング模式図

織機上の経糸には弛まないように糸を張っておくための張力、緯糸を通す隙間を開けるときの急激な張力上昇、緯糸を打ち込むときの衝撃、織機の金属部品との摩擦、隣り合った経糸同士のからみ合いや摩擦など、ダメージを与えスムーズな生産を妨げるさまざまな負荷がかかります。

そのため織物用の普通の糸をそのまま織機にかけると強度や摩擦耐性の不足により糸切れや毛羽・毛玉が大量に発生し、生産性が上がらず良い織物ができないので、経糸にあらかじめ「糊(のり)」を付けて強度を補ったり滑りを良くしたりということが行われます。この作業・工程のことを糊付け(サイジング)といいます。

糊付前
糊付前
糊付後
糊付後
  • 強度アップ
  • 耐摩耗性アップ
  • 平滑性アップ
  • 毛羽減少

「糊」についてAbout “Size”

織物経糸に使う「糊」の材料としては、古くは海草から採るフノリや穀物からとるデンプンを溶かしたものや動植物油などが使われていました。現在ではこれらに加えて、PVA(ポリビニルアルコール)、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂といった合成水溶性ポリマーや、天然素材由来でも化学的に処理をして使いやすさや物性を改善した変性デンプン、CMC(カルボキシメチルセルロース)を用いるようになっています。場合によっては糊や糸に特定の性質を持たせるための消泡剤、静電防止剤、防腐剤などの助剤を使うこともあります。

糊付けの現場ではこれらの材料を別々に調達し自社で調合して使用されるところもありますが、溝端化学では生産される対象の織物の素材、織組織、糸の太さ、使用目的などの範囲に応じて必要な材料を適切な比率でブレンドし、そのまま水に溶解させ加熱糊化するだけで便利にお使いいただける配合糊材を製造しご愛顧を頂いています。

近年の織機には緯糸を打ち込む速さが1分間に1000回にもなる機種もあり、糸にかかる負荷も増す傾向で、サイジングや「糊」の重要性はますます高まっています。